歯周病について
1.原因
歯周病とは、歯周病菌によって引き起こされる感染症です。
細菌の攻撃に対する私たちの抵抗力が低かったり、細菌の活動性が免疫力より強かったりすると、歯周病は進行して、歯肉や歯槽骨などの歯周組織を破壊していくようになります。
お口の中には300~400種類の細菌が存在していますが、その中で特に歯周病の原因となる菌として、アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、スピロヘータなどがあります。これらの菌が、歯と歯ぐきの境目で増殖すると歯周ポケットが形成され、歯槽骨の破壊を起こさせます。
歯周病は感染症のため、夫婦間・親子間で感染、伝染する可能性があります。家族全体での予防が大切です。
歯周病菌
2.歯周病を進める原因
歯周病を悪化させる原因として、タバコが危険です。喫煙本数が多ければ多いほど、危険性は高くなります。喫煙が歯周組織に与える悪影響として主に、
- いい加減な歯磨き
- 喫煙
- ストレス
- 不規則な生活・食生活
- 性ホルモンの不調和(例えば、更年期をむかえた時、更年期症状としてホルモンのバランスがくずれ、歯周組織が変化し、歯周病の症状が悪化することがあります。)
- 糖尿病
- 遺伝
3.歯周病と喫煙
歯周病を悪化させる原因として、タバコが危険です。喫煙本数が多ければ多いほど、危険性は高くなります。喫煙が歯周組織に与える悪影響として主に、
- 歯ぐきへの血液の流れが悪くなり酸素や栄養が欠乏したり、老廃物の除去がうまくいかなくなります。
- 歯ぐきが線維化し、出血など歯周病の主な症状が出にくく、手遅れになりやすいです。
- 細菌と闘う白血球の機能が減少します。
- 歯周病の治療に必要な細胞の働きを抑えてしまい、治療に対する反応が悪くなります。
禁煙をすれば危険度は減少し、改善していきます。たとえ完全禁煙出来なくても、喫煙本数は少ないほうが歯周病が悪化しにくくなるので、1本でも少なくしていくことが大切です。
4.分類
健康な歯肉
歯ぐきが引き締まっていて、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)がない状態です。
歯肉炎
歯ぐきが赤く腫れます。歯磨き時に出血することがあります。この時点では、まだ歯槽骨(骨)までは影響は出ていません。
初期歯周炎
歯ぐきが赤く腫れます。歯を磨いたり、固い物を食べると出血することもあります。歯槽骨が少し溶け始めます。
中等度歯周炎
歯周ポケットの炎症が進行して、歯槽骨が溶けていきます。歯が浮いたような感じがし始め、口臭も出ます。
重度歯周炎
歯を支えている歯槽骨がほとんど溶けてしまいます。歯が揺れ始め、最後には歯が抜けてしまいます。
5.進行した歯周病は、このような病気と関わってきます。
- 狭心症、心筋梗塞
血液中の歯周病菌が、毒素や炎症反応の影響で、心臓の冠動脈などが血栓によって詰まる原因となることがあります。歯周病が進行していると、心疾患になる確立が約3.6倍も高まります。 - 感染性心内膜炎
すでに心臓に病気がある場合は、血液に入り込んだ歯周病菌が、人工弁や心内膜などに付着して増殖、感染性心内膜炎になることがあります。 - 早産、低体重児出産
妊娠中に歯周病菌が血管内に入り込むと、炎症反応により、子宮筋を収縮させたり、胎児の成長に影響を与えて低体重出産になりやすくなります。歯周病が進行している場合には、そうでない場合の約7~8倍リスクが高まると言われています。 - 肺炎
要介護の高齢者などは、謝って唾液を気管に入れてしまうことが少なくありません。歯周病菌などが多く唾液中に含まれていると、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。これは寝たきりの状態の長期化につながります。 - がん
最近では、歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果も報告されています。
6.治療法
治療を進めるうえで、まず、お口の中の増殖した細菌を減少、抑制することが必要です。そのために、患者さんご自身によるプラークコントロール(特にブラッシング)が大切です。ブラッシングの方法は、毎回詳しくご説明いたします。
そして、専門家によるプラークコントロールとして、スケーリング、SRP(ルートプレーニング)、歯周外科を行います。
スケーリングとは、歯の表面からプラークや歯石を取り除くことです。SRPとは、歯ぐきの中の歯石を取り除き、清潔で、硬く、つるつるな歯の根面をつくることです。また、必要があれば、抗生物質の投与や歯周外科の処置をとる場合もあります。
歯周治療後の歯周ポケットは、メンテナンスをしなければ再び感染してしまいます。
メンテナンスは、バイオフィルムの破壊と除去を行って、健康な状態を維持させ、再発を防止することを目的としています。
実際に、歯周病菌は処置した後、12~16週で元に戻る傾向があります。
そこで、細菌が悪さをする前に、メンテナンスを定期的に行っていきましょう。